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スーツのお手入れ②多雨編

連日、30℃を超える日が続いていた九州地方。

本日は一転、

一時バケツをひっくり返したような大雨では在りましたが、

ここ最近の火照った空気を、

ほんの少し冷ましたようで、

しのぎ易い一日となりました。

ここから続く多雨の1ヶ月前後は、

お客様にとりましても、

私たち洋服屋にとっても、

洋服のお手入れに、一層気を遣う時期に入ります。

と申しますのも、

洋服に多く用いられるウール(羊毛)は、

「湿気」に、その状態を大きく左右される性格を持っているからです。

ウール(羊毛)の繊維は、

多くの水分を含むと伸び、

逆に、乾燥すれば縮んで、ピンと張ります。(短くなります。)

(逆に、この羊毛の性格を上手く利用することで、

洋服に、優雅で立体的な曲線を描いたり、

反対に、シャープで直線的な線を生み出す服創りを行うことが出来ます。)

故に、

湿気の少ない時は、何ともないのに、

(繊維がプラスマイナスゼロの位置で、美しくピンと張った状態)

湿度が高い場合や、雨に濡れたスーツは、

(繊維が伸び、余りが出来ている状態)

ブクブクと、どこか“波”を打ったような状態になるという経験を、

多くの方がなさったことが在るのではないでしょうか。

しかしながら、

その大抵の場合は、

お手入れによって、ピシッと元通りにすることが出来ます。

“お手入れ”とは言え、

大変簡単なもので、

「乾燥」→「ブラッシング」→「休養」

この3ステップで完結です。

また、多雨のこの時期は、

是非この順番の通りで、お試し下さいませ。

それでは先ず、

「乾燥」のステップから参りましょう。

雨等で湿ったスーツは、

まず“厚みのあるハンガー”に掛けます。

(「厚みのある」がポイントです。

針金ハンガーや、薄いハンガーは

型崩れの原因になりますので、是非避けて下さい。)

正しくハンガーに掛けることで、

何より、型崩れなく

洋服を十分に乾燥することが出来ます。

また、洋服が湿ったままブラッシングを行うと、

汚れが、洋服の縫い目等に入り込み、

後に落とすことが大変難しくなってしまいますので、

ここは慌てずに。

そうして、

洋服を十分に乾燥した後は、

ステップ2番「ブラッシング」です。

ブラッシングでは、

洋服に付着した汚れを、しっかりと払い落とします。

ブラシをお掛けになる際は、

上から下に向かって、

全体に隈なく掛けることが、コツです。

無事、ブラッシングが終わった洋服は、

最後のステップである「休養」を与えてあげて下さい。

休養の時間の目安として、

私個人と致しましては…

着用した時間の3倍程が必要だと、

師匠である父から叩き込まれて参りました。

となると、

1日お召しになった洋服は、

まる2日間休ませることが、一番良いことになります。

お客様にお勧めさせて頂くことは、

1週間に3着の洋服をお持ちになって、

月曜日にお召しになった洋服は、次は木曜日に。

火曜日は、次は金曜日に。

水曜日は、土曜日にという具合にお使いになると、

洋服の寿命(限界ヨタヨタ…でではなく、美しい状態でお召し頂ける時間を指します)は、

2倍以上に伸びてくれます。

「乾燥」→「ブラッシング」→「休養」

梅雨時期のスーツのお手入れは、

これだけです。

加えて、

ズボンの折り目が何となくシャープでなくなってきたら、

「プレス」が必要なタイミングとなります。

ご家庭でのズボンのプレスには、

“スタンド式”ズボンプレッサーをご活用なさると一層簡単です。

上着をハンガーにさっと掛けるような感覚で、

ズボンはプレッサーに挟み込むだけ。

簡単にプレスを掛けることができます。

(家電量販店で、約1万円程です。)

それでも、状態が戻らない場合、

またご不明な点等がございましたら、

遠慮なく、私たちにお申し付け下さいませ。

最後に…

“洋服が乱れていると、気持ちまで乱れてしまう。

カッコいいスーツを着ることは、人生を変える一つのピースだ。

スーツで嵐を巻き起こせ。

今日も、カッコよく“生活(い)”きよう。”

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